気付くのが遅いシーラカンス/再

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映画版Catsを初日に観てきた話

5億年ぶりのはてブロです。

 

映画Cats、前評判があまりにもボロクソすぎて気になっていたのですが偶然公開日(きのう)が当直明けだったので飛び込みで観てきました。

時間がちょうどよかったのと吹き替えキャストのゴージャスさが話題になってたので吹き替え版で。

 

Twitterなどで「ミュージカルファンだけどどの程度ヤバいのか知ってからじゃないけど怖くて観にいけない…」みたいなことを言っている人が散見されたので四季版もDVD版も大好きでこどものころから擦り切れるほど観ていたわたし視点での雑記をあげておきます(ほぼ鍵垢でツイートした内容)

当然のようにネタバレ・演出バレしますわよ。

 

 

こどものころ擦り切れるほど観たDVD版はこちら。映画版が出てより泌みるロイドウェーバー本人監修の安心感よ。そして安くてビビる。

 

 

キャッツ[AmazonDVDコレクション]
 

 

初見の方は是非こちらを観てから映画行ったほうがいいかと…映画だけだとストーリーもコンセプトもわけわからんとおもうので…

インタビューとかメイクアップとかレッスンとかの模様収録の特典ディスクもたのしいよ。

 

 

さて本題。全然まとめる気がないのでクソ長いです。

結論から言うと

・ミュージカルファンで予告映像が生理的に無理でなければある程度楽しめると思う。前評判ほどいいところが一つもないってわけじゃない。オタク気質の人なら四季版ブロードウェイ版との違いを思いながら観るだけでたのしい。

・ただ生ゴミとかゴキブリとかの映像は本気で汚い

・吹き替えキャストは本当に最高

 

 

以下細かいところ

 

・映画館音響向けに作ったのかな〜っていう感じの編曲はすごくよかった。Overture〜ジェリクル・ソングのあのメロディには瞬く間にあの世界に観客を引き摺り込む魔法があると信じて疑わない(ロイドウェーバーは天才)のですが、今回の編曲ではバチバチにパーカッションが立っていてブチ上がります。それ聞いただけで「あ、なんだ 来てよかったな」って思いました。

・美術もネオンの街並みとかお屋敷とか古い劇場とかラストシーンの夜明けの空とかはすごく綺麗。ただゴミとか食べ残しとか後述のジェニエニドッツのゴキブリ・ボーイスカウトとかはめちゃくちゃ汚い。ほんとに汚い。正視に耐えないって人も結構いるんじゃないかしら。

・衣装が正直めちゃくちゃ謎で、役者さんの肉体美を殺すあの毛並み…舞台版だとレオタードだから身体が綺麗〜〜〜!!!って感じなのに… そのせいで群舞もなんとなくごちゃごちゃっと見えて舞台版みたいな迫力に欠ける。そして尻尾と耳が動く必要はマジでない。ケモナー向けとか言われてしまうのはこれのせいかよ。あとキャッツにおける猫と猫との関係は匂わせる程度(他の猫のナンバーの間寄り添っていたりペアダンスが多かったり)なのがいとをかしと思ってるので様々な事件を経てミストフェリーズとヴィクトリアの間に芽生える恋…みたいな演出はいらねえだろとおもいました。ここは好みが分かれそう。

 

ナンバー/猫ごとの諸々/というか主に役者オタク視点での吹き替えキャストの話

 

The Naming of Cats〜The Invitation

訳詞だけじゃ何がなんだかわかんなそう(四季版の訳詞に慣れすぎてしまっているのもあるが)

髭男のファンの子とかが全く初めてキャッツに触れるとしたらマジで意味がわからないままタガーの出番を待つことになるのか…辛いだろうな…と思ってしまった。人の心配をしている場合ではない。

 

マンカストラップ

山崎育三郎は猫でもイケメン。本当に歌がうまい。安心と信頼の歌唱力。山崎育三郎ファンの人は絶対に見たほうがいい。舞台版マンカスよりも活躍幅が広い(後述)。最初から最後までイケメン。

 

ジェニエニドッツ

吹き替え浦島りんこさんだ〜!(ドリカムのコーラスとかにいらっしゃったのと、SMAPオタクの我々にとっては2006年Pop up SMAP!の中居正広ソロ「女の子とLOVE SONG」のCD音源で あ の 中居正広とデュエットしてくださった方としてお馴染み) 

映像演出についてはかなりアレでしたね。まず肉体がすげえ生々しい。見ればわかる。

舞台版では他の猫たちがゴミを使って作った被り物でネズミやゴキブリに扮して踊るのが可愛いのに謎の縮尺小さい人間がネズミやゴキとして出てくる。謎。しかもその人面ゴキをジェニエニドッツが手掴みで食う。わたしのSAN値はこの時点でかなりピンチ。

 

ラム・タム・タガー

舞台版のタガーといえばミックジャガーがモデル、自由気儘で傍若無人な女誑し、でも目上の猫への敬意は忘れず危機にあっては仲間を鼓舞し場を盛り上げるロックスター。6〜7歳の頃のわたしがタガーにいたくご執心だったことはその後のわたしの性癖にダイレクトに繋がっている気がして恐ろしいですね。キャッツがやべーのは何も映画版に始まったことじゃあないんですよ。

話が逸れましたが、映画版のタガーのビジュアルめちゃくちゃおとなしくないですか!?全然ミックジャガーじゃないじゃ〜ん!!せっかくジェイソン・デルーロの美しい肉体が中に入っているのになんだあの微妙な毛並みは…

しかも全然腰振らないんですね。腰振らないタガーとかある?

吹き替えキャストがofficial髭男dismのボーカルの藤原聡さんっていうのも発表されたときびっくりしました。80〜90's音楽を愛好して育ってきた平成生まれの我々が思うロックスターとは系統がだいぶ違う、そして案の定舞台版タガーのようなギラギラシャウトではなくあの中性的な甘いファルセット。それに雌猫たちがメロメロの描写がまあなんと違和感がなく、なるほどこれが令和か〜〜〜〜〜となりました。令和の女誑しはセックスドラッグロックンロールじゃないんですよ。勉強になるなあ。

 

バストファージョーンズ

ロバート秋山さんがものすごくハマってた。多才だなあ。歌からジェニエニドッツとのコミカルな掛け合いまですごく粋で素敵な箸休めって感じでした。

ただ映像の生ゴミがすげえ汚い。あと衣装がね〜DVD版のモノクルに口髭に胸ポケットの赤い薔薇のビジュが好きなのでそれと比べてしまうとね〜…

あと訳詞では政治屋猫っていうくだりが全カットでただの美食家猫になってた気がするんだけどそれだどみんながヘコヘコする意味がわからなくないか?と思いました。 聞き逃しかもしれんけど。

 

マンゴジェリー&ランペルティー

これは本当に吹き替えで聴いて欲しい!!!!宮野真守&沢城みゆき、最高にキュートでダーティーでチャーミング!そしてこのナンバーはビジュアル的にもそこまで汚くなくて忍び込むお屋敷の細部の作り込み方は映画ならではだし、人間のアクセサリーを猫視点で見たサイズ感とかは舞台美術のそれっぽくてかわいかった。

 

ガス

ミストとガスの交流、舞台版にはないけどほっこりして良かったです。好き。宝田明さんのお芝居も大変味があって泌みる… 四季版みたいに劇中劇でそのままグロウルタイガーやってほしかったなあ… グロウルタイガーが全く別の猫として出てきて(マキャヴィティの手下)せっかく山路和弘さんの声がついてるのに一瞬だったのでそれが惜しい… 

 

スキンブルシャンクス

スキンブル曲でタップダンスするのいいですね!!!映画アレンジで1番よかったのここかもしれない。舞台の制限された技法で汽車を表現するのもすごく好きだけどそれと対比しても映画の良さが活きてた。

 

マキャヴィティ

全編通してちょこちょこ出てきてガチの悪事を働くマキャヴィティ。舞台版みたいな"悪の概念"的なアレではなく普通にガチの悪者。そして情けなくやられてオチがつく。概念のまま終わって欲しかった。

あとマンゴジェリー&ランペルティーザはマキャヴィティへの憧れみたいなものはあっても所詮ただのコソ泥であってマキャヴィティの孫受け下っ端仕事をやらされてるっていうのは解釈違いです〜〜〜!!!!(過激派)

吹き替え山ちゃんの芝居(喋り芝居)がずば抜けてうますぎる。

 

ミストフェリーズ

前述のようにタガーの毛並みがかなり地味・コーラスでもイマイチ存在感薄めだったのでこんなんで(わたしが思うにキャッツのハイライトでありタガーのスター性が最も発揮される)ミストフェリーズのイントロダクションできるの!?と思ったらタガーじゃなくてマンカストラップがやってた。ウケる。

そしてミストフェリーズの解釈が好き嫌い分かれそうなところで、映画版ミストは自信のない半人前のマジシャンなんですね。グレイトマジシャンであり大人と子供のあわいにいてその力を制御しきれていないみたいなキラッキラの天才児ではない。森崎ウィンさんのお芝居が超絶可愛かったのでもうなんでもいいです。

せっかく映画なんだからド派手でスペクタクルなマジックのCGがあるだろな〜と思ってたらイマイチなんかちょっとアレだったんだけど森崎ウィンさんのお芝居が超絶可愛かったのでもうなんでもいいです。

 

ヴィクトリア・グリザベラ

全体を通して思ったのは映画版のヒロインはグリザベラではなくヴィクトリアなんだなあ…ということ。オリジナル曲のBeautiful Ghostはザ・ミュージカルヒロインのアリアって感じでよかったです。

Beautiful Ghostを聴きたいばっかりに字幕版でももう一度見ようかなと思うくらい。

終始ヴィクトリアの視点で物語が進んでいくのは観客の視点の代理を務める存在を必要とする映画ならではで面白かった。

その分メモリーインパクトは薄れるかなあ。しかし歌がうまい。めちゃくちゃ歌がうまい。

 

オールド・デュトロノミー

女性になってるのびっくりしませんでした!?何故!?しかし登場したらそんなことどうでもよくなるぐらいのジュディ・デンチの説得力よ…ありがてえ…ありがてえ… 年季が入りつつも美しいヴィンテージのような毛並みといい、ビジュ的に一番解釈一致だったのはデュトロノミーかもしれない。

しかしThe Ad-dressing of Catsはバリトンで朗々と歌い上げるイメージが強すぎて、女声でキーそのままで音域的に無理があるのでオクターブ上げたり下げたりして…というのがすごく気になった。あれ吹き替えだからなのかな。字幕版オリジナル音声はどうなってるんだろう…

 

エンドロールでえげつない数のスタッフの名前が流れてきてうわ…超大作じゃん…と思いました。(それはそう)

字幕版すごく気になるので観に行くかもしれません。前評判バイアスがかなり頭の中で幅を利かせていたこともあり良かったのか悪かったのかいまいちわからなかった2時間でした。 

他のミュージカルファンの感想をもっと読みたいのでみんな観に行ってくれると嬉しい。以上です。